共通テスト概況
2026/1/22公開
2026年度大学入学共通テスト(以下、共通テスト)は、1月17日・18日の両日に全国650会場で実施されました。
積雪による交通機関の遅延などが心配されましたが、全国的には大きなトラブルなく実施されました。
共通テスト 志願者・受験者は前年から微増
共通テストの志願者数は、496,237人(1,066人増、前年比100%)と前年並みでした。志願者数の内訳をみると、現役生志願者は前年比99%と微減となりました。一方、近年減少が続いていた既卒生志願者は前年から1割増となりました。なかでも2浪生の増加が顕著であることが今年の特徴です。今年度から共通テストがWEB出願に変わり、卒業証明書を母校から取り寄せる必要がなくなったことが、既卒生志願者の増加の一因とみられています。
直近10年の志願者数の推移をみると、以前は志願者数が50万人を超えていましたが、2024年度以降は49万人台で推移しています。少子化による競争緩和が見てとれます。
受験者数に目を向けると、1日目の外国語の受験者数は456,386人(1,487人増、前年比100%)、受験率は92%となりました。
国語 第3問「実用的な文章」 出題2年目は昨年とは別傾向
共通テストの出題傾向をみると、新課程入試2年目となった今回も、「思考力、判断力、表現力を問う」といった基本的な考え方にのっとり、「日常を意識した場面設定」「複数資料の提示」といった共通テスト特有の出題傾向は継続しています。
「国語」では、昨年から「近代以降の文章」に実用的な文章が加わりました。今年は、イワシをテーマにした絵本をめぐる問題でした。生徒が書いたとされる文章、インタビュー記事、絵本の抜粋、イワシの回遊について説明した文章と図から成り立っており、昨年度のようなグラフの読み取り問題はなく、文章の表現について問われる問題が中心でした。問題全体の方向性がとらえにくく、戸惑った受験生もいたのではないかと思われます。
数学では出題の変更がありました。「数学Ⅰ,数学A」では「数と式」に代わり「集合と命題」が出題されました。「集合と命題」の単独出題は共通テストになってから初めてです。「数学Ⅱ,数学B,数学C」では「指数関数・対数関数」に代わり「図形と方程式」が出題されました。昨年から出題範囲に加わった「複素数平面」は、今年は「平面上の曲線」との融合問題になりました。
また、地歴・公民では「歴史総合,日本史探究」と「公共,政治経済」で、解答したい方を受験生が選択できる「組み合わせ形式」の問題が出題されました。昨年の「公共,倫理」に続いての出題となります。「歴史総合,世界史探究」では、「歴史総合」部分で日本史からの出題が増加しました。昨年は日本史のみの出題はありませんでしたが、今年は選択肢が日本史分野で構成される小問が2問出題されました。なお、昨年の「歴史総合,日本史探究」では、世界史の知識が必要な問題が出題されています。「歴史総合」部分については、両分野にまたがった準備が必要でしょう。
時事トピックでは、「SDGs」「ガザの紛争」「AI」「新型コロナワクチンと免疫の仕組み」などが出題されたほか、「絵本」「漫画『ベルサイユのばら』」「タイムマシンで過去や未来に行く」など、受験生が取り組みやすい素材を盛り込んだ出題が散見されました。
科目別平均点-「数学Ⅰ,数学A」「国語」「物理」でダウン、「化学」は11点アップ、2年目の「情報Ⅰ」は問題量増加で12点ダウン
<図表1>は、「自己採点集計*」参加者の平均点を集計したものです。
科目別にみると、主要教科では「英語リーディング」「数学Ⅱ,数学B,数学C」で平均点がアップしたものの、「英語リスニング」「数学Ⅰ,数学A」「国語」ではダウンしました。
「国語」は昨年から10点ダウンしました。「古文」で得点できなかった受験生が多かったようです。「近代以降の文章」の平均点も昨年よりダウンしたものの、比較的得点しやすい問題でした。
理科では受験者が多い「化学」で11点のアップとなりました。一方、「物理」の平均点は13点ダウンとなっており、昨年と状況が逆転しました。「化学」では共通テスト特有の目新しい題材を扱う設問が減少し、さらにグラフを用いた問題がほとんどなく、計算問題も減少しました。そのため、これまでの共通テストに比べて、難易度だけでなく時間的にもやや余裕ができ、平均点アップにつながったと考えられます。「物理」は全体的に思考・計算を要する問題が増えたことに加え、第2問では難関国公立大で出題されるような発展的内容が出題されるなど、出題内容の難化が目立ちました。
地歴・公民では、昨年平均点が高かった「歴史総合,世界史探究」を除き平均点はアップしました。これにより各科目62点~66点の間に収まっており、バランスのよい出題でした。
導入2年目の「情報Ⅰ」は、平均点が12点ダウンしました。昨年の平均点は70点と高めでしたが、今年は58点と他教科と同じ水準になりました。昨年からの変化として、問題量の増加が目立ちます。マーク数は51→60に増加しており、60分の解答時間内に解答を終えるのが難しかった受験生が多いと推測されます。
* 自己採点集計:河合塾、駿台予備学校、ベネッセコーポレーションが実施した「大学入学共通テスト自己採点集計サービス」。共通テスト受験者の約9割が参加
8科目型平均点、文系・理系ともにダウン
国公立大志望者を中心とする6教科8科目(1000点満点)の受験者平均点と得点率は、文系が607.1点で得点率60.7%(-2.4ポイント)、理系が614.2点で得点率61.4%(-3.0ポイント)と文理ともにダウンしました。文系と理系の差は昨年よりも縮まりました。
<図表2>は自己採点集計における8科目型受験者の成績分布です。昨年と比べて、文系、理系ともに平均点ダウンにより今年の分布は左側にシフトしています。また、得点率8割以上の受験生は大幅に減少しました。平均点がダウンした「国語」「数学Ⅰ,数学A」「情報Ⅰ」で高得点が取りにくくなったことなどが影響しています。




